生活
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なぜ多くの幹細胞治療は保険適用外なのか
街のクリニックのウェブサイトを見ると、「膝の痛みに幹細胞治療」「肌の若返り再生医療」といった魅力的な言葉が並んでいます。しかし、これらの治療のほとんどは、保険が適用されない「自由診療」です。なぜ、同じ幹細胞治療なのに、保険が使えるものと使えないものがあるのでしょうか。その境界線は、国による「承認」を得ているかどうかにあります。保険適用となる治療法は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器法)」に基づき、厳しい科学的なデータ審査をクリアした「再生医療等製品」として、国から製造販売承認を得たものだけです。この承認を得るためには、多くの患者さんが参加する大規模な臨床試験(治験)を実施し、「この病気に対して、この治療法は確かに有効で、かつ安全である」ということを、統計学的に明確に証明しなければなりません。これには、莫大な費用と長い年月がかかります。一方、自由診療として行われている幹細胞治療は、この国の承認を得ていません。ただし、無法地帯というわけではなく、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療等安全性確保法)」という別の法律の枠組みの中で、医療機関が治療計画を国に届け出て、一定の安全基準を満たしていることが確認された上で実施されています。つまり、安全性への配慮はなされていますが、有効性については科学的に確定しているわけではない、という位置づけになります。そのため、費用は全額自己負担となり、その金額も医療機関が自由に設定できるのです。