ある治験参加者の声、未来の医療への貢献
長年付き合ってきたパーキンソン病の症状が、薬だけでは抑えきれなくなってきた頃、主治医からiPS細胞を使った治験の話をいただきました。正直、最初は恐怖しかありませんでした。まだ誰も試したことのない治療を、自分の体で実験するようなものですから。家族も猛反対しました。しかし、日に日に自由が効かなくなっていく自分の体と、このままでは遠くない未来に寝たきりになってしまうという現実を前に、他に道はありませんでした。何よりも、「もしこの治療が成功すれば、自分と同じように苦しんでいる世界中の人々の希望になるかもしれない」という思いが、私の背中を押しました。インフォームド・コンセントでは、医師が何時間もかけて、治療の可能性と、考えられる全てのリスクを丁寧に説明してくれました。その誠実な姿勢に、私はこの医療チームを信じてみようと決意しました。脳に細胞を移植する手術は、想像を絶する緊張でしたが、無事に終わりました。術後、劇的に症状が改善したわけではありません。しかし、以前よりも薬が効く時間が長くなったり、体の動きが少しスムーズになったりと、確かな変化を感じています。定期的な検査のための通院は続きますが、研究者の方々が私のわずかな変化に真剣に耳を傾け、データを分析している姿を見るたびに、自分は独りではない、未来の医療を作るチームの一員なのだと感じます。この治験が最終的にどのような結果になるかは、まだ誰にもわかりません。でも、私は自分の決断を後悔していません。この一歩が、百年後の誰かの笑顔に繋がっていると信じているからです。