幹細胞の種類、それぞれの個性と役割
「幹細胞」と一言で言っても、実はいくつかの種類があり、それぞれに異なる個性と能力を持っています。再生医療を理解する上で、これらの違いを知ることは非常に重要です。大きく分けると、幹細胞は「多能性幹細胞」と「体性幹細胞」の二つに分類されます。多能性幹細胞は、私たちの体を構成するほぼ全ての種類の細胞に変化できる、非常に高い能力を持っています。その代表格が「ES細胞(胚性幹細胞)」と、ノーベル賞で有名になった「iPS細胞(人工多能性幹細胞)」です。ES細胞は、受精卵の一部から作られ、再生能力が非常に高い一方で、生命の萌芽である受精卵を利用することから、倫理的な課題が指摘されています。一方、iPS細胞は、大人の皮膚や血液の細胞に数種類の遺伝子を入れることで人工的に作られるため、ES細胞が持つ倫理的な問題をクリアできる画期的な細胞です。もう一つの「体性幹細胞」は、私たちの体の中の決まった組織や臓器に元々存在し、その組織を維持・修復する役割を担っている幹細胞です。例えば、骨髄にあって血液の細胞を生み出し続ける「造血幹細胞」や、皮膚にあって新しい皮膚細胞を供給する幹細胞、脂肪組織の中に含まれる幹細胞などがあります。体性幹細胞は、変化できる細胞の種類が、自分がいる組織に関連するものに限られている(例えば造血幹細胞は血液系の細胞にしかなれない)という制限がありますが、私たちの体内に存在するため安全性が高く、すでに骨髄移植(造血幹細胞移植)のように医療として確立されているものや、整形外科や美容の分野で応用が進んでいるものも多くあります。